2021.1.25

中古住宅の購入や販売を検討している皆さんは「ホームインスペクション」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。ホームインスペクションは住宅診断とも呼ばれ、中古物件を安心して売買するためにな調査です。今回は「ホームインスペクション」の必要性や実施のメリットについてご紹介します。

 

■ホームインスペクション(住宅診断)とは?

ホームインスペクション(住宅診断)は、住宅に精通したホームインスペクターと呼ばれる住宅診断士によって行われます。ホームインスペクターが専門的な知見をもって、住宅の劣化状況、欠陥の有無、改修すべき箇所や、改修のタイミング、費用などを見きわめてアドバイスする一連の専門業務をホームインスペクションといいます。中古住宅を購入する前や、販売する前に、住宅のコンディションを把握しておくことで安心して取引ができます。

 

■ホームインスペクション(住宅診断)が必要とされる理由

従来ホームインスペクションは、不動産売買の中であまり一般的なものではなく、一部の積極的な業者や売主、買主のみが利用していました。しかし、2018年(平成30年)4月より、ホームインスペクションに関する以下のことが義務化されてから注目されるようになりました。

 

1) 不動産業者は買主・売主にホームインスペクションについて説明すること

2) ホームインスペクション実施済の場合はその結果を買主等に説明すること

3) 建物の状況について売主と買主の両方が書面で確認すること

 

義務化の対象となったのは「中古住宅」のみとなっています。

 

ホームインスペクションの義務化は、物件取引の不透明性や買主の不安を払拭し、中古物件の売買件数を増やすことを目的として導入されました。日本では平成25年時点で全住宅流通量(中古物件+新築物件)のうち中古物件が占める流通シェアが14.7%という結果が出ています。※

 

これは多いのでしょうか、少ないのでしょうか?

 

アメリカでは全住宅流通量のうち中古物件が占める流通シェアがなんと83.1%。※

アメリカと比較すると、日本の水準はかなり低いことが一目瞭然ですね。

 

日本では既存住宅購入経験者のうちホームインスペクションを利用した買主は1割未満にとどまっているのに対し、アメリカでは買主の約8割がホームインスペクションを実施しているという結果が出ています。※

 

ここから、ホームインスペクションの実施の定着や売主への情報開示の義務付けなどが、中古物件の流通市場に影響を与えていることがわかります。そのため日本でもホームインスペクションが重要視されるようになり、2018年の義務化に至りました。

 

※国土交通省土地・建設産業局、住宅局「既存住宅流通市場の活性化」令和元年10月18日参照

 

■ホームインスペクション(住宅診断)のメリット

多くの消費者は中古物件を購入する際に、隠れた欠陥や不具合に不安を抱えています。売主はできるだけ高く物件を売りたいですし、買主はできるだけ質が保証された物件を買いたいですよね。そこで売主と買主の間に情報の非対称性が生じてしまうことがひとつの課題となっています。

 

ホームインスペクションの実施はそういった課題を解消するための足掛かりとなっています。では具体的にホームインスペクションを実施することで、中古物件の売主や買主にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。

 

【売主側】

・売却する前に物件の瑕疵がわかる

・売却前に補修したり、瑕疵を買主に告知したりできる

・適切な維持管理ができる

・売却後の買主とのトラブルが減る

 

【買主側】

・品質に対する不安が解消される

・建物の質を考慮した購入判断や交渉ができる

・修繕履歴や物件の詳細情報を把握できるため購入後のリフォーム・修繕が計画しやすい

 

インスペクションにかかる費用負担などをデメリットと思われるかもしれませんが、中古住宅取引の際に建物の状況をできる限り把握しておくことは非常に大切です。

 

ホームインスペクションの「実施」自体は義務化されていませんが、取引後のトラブルを最大限に防ぐためにも中古住宅の売買の際には導入を検討しましょう。